2010年4月17日~24日間でコープネットの役職員2名を派遣し、ハッピーミルクプロジェクトが支援するアフリカ・モザンビークを視察しました。
今回の視察では2008年度から続く、ハッピーミルクプロジェクトが支援している栄養プログラムの進捗状況の把握と、2009年の秋からさいたま市立大門小学校に協力をいただき集めた児童の絵画を通してモザンビークの小学生との日本の文化交流を行うことが目的でした。
ユニセフのモザンビーク事務所では、モザンビークの現状に関する説明を受けました。
| 人口: | 約2050万人(人口の70%は農村部で、自給自耕農業で生計を立てている) | ||
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| 18歳未満の子どもの人口: | 約1000万人 | ||
| 1人あたりの国民総所得: | 475US$(サハラ以南の地域の平均は754US$) | ||
| 貧困ライン(1日の生活費が1US$)以下の人口率: | 54%(97年は69%) ⇒特に北部では貧困率が高い。 | ||
| 5歳未満児死亡率: | 1000人中138人(2008年) | ||
| 識字率 | 男: | 58% | 学校の出席率は81%(2008年) 小学校7年間きちんと通う子どもは最終的に15%しかいない。 |
| 女: | 48% | ||
| 子どもの死亡原因: | マラリア、HIV/AIDS、下痢、呼吸器疾患(肺炎、結核など) | ||
| AIDS: | 2009年感染率15%(15-49歳の人口のうち) 350,000万人がAIDS孤児 |
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| 出生時平均余命: | 35.9歳(2010年の数値。2006年の37.1歳から悪化) | ||
以上4つの戦略的課題を持ち、ユニセフはモザンビークにおける活動を行っています。
首都のマプトから2000キロメートル離れたナンプラ州の保健センターで出会ったエレナさんの話は、私たちに衝撃を与えました。彼女は7人の子どもがいて、一番小さな双子の子どもは栄養不良です。近く(といっても歩いて2,3時間)の保健センターで治療しています。双子というのはこの地域では不幸の家の象徴。そのため、旦那さんは家から出て行ってしまったそうです。だから彼女は、1人で一家を支えています。エレナさんは「生活が苦しく、早く子育てを終えたい」と言っていました。子育てを終わらせたいのになぜ7人もの子どもを作ってしまったのか、少し疑問に思ったので聞いてみました。するとエレナさんは、「子どもが何故できるのかわからない。欲しくないのにできてしまった。」と言ったのです。これは家族計画の教育さえ受けていないということ示していました。その言葉に衝撃を受け、子どもの栄養不良の問題だけでない、モザンビークのさまざまな問題を認識しました。
しかしながら、そういった大変な状況に果敢に立ち向かう看護師や郡の代表のお話は、私たちに希望を与えてくれました。エレナさんが通う保健センターに勤めるゲルバジオさんは看護師です。彼は数年前までは栄養に関して深い知識を持っていませんでした。しかし、ハッピーミルクプロジェクトの支援する栄養プログラムの中で、栄養に関する勉強をし、知識を蓄えました。その後、その知識を持って多く患者と直接ふれあい、目に見えて患者達の回復する姿を見てきたようでした。最後にゲルバジオさんは、「多くの人を助けることができた栄養プログラムに感謝しています。しかしもっと知識を深めるために再研修にも積極的に参加し、看護師としての腕を磨いていきたいです。」と言っていました。
この地域の郡の代表であるナマハラさんは、「栄養プロジェクトの支援を通して、ユニセフとの良いパートナーシップを取れていることをうれしく思います。活動には大変満足していて、今回の視察はこの活動を陰で支える人の励みと大きな支えとなっています。」「まだまだ困難な状況ですが、確実に前進している。20年前は識字率が10%から50%に改善された。電気も村に来た。望みを失わず問題に立ち向かっていきたい」と力強く言っていました。
この2人の言葉を聴き、こういった考えを持つ人がいるモザンビークは確実に良くなるだろうと確信しました。またモザンビークではこのような素晴らしい人材がいるのとともに、数字でも栄養不良の子ども達の様子を記録しています。確実に栄養不良は改善傾向にあり、それは政府に伝えられ、政府とともに問題解決を行っているとのことでした。
栄養に関しての知識を多くの人に知らせるためには、識字率が約50%の状況では、新聞やチラシなど文字を使ったものは有効ではありません。モザンビークの公用語はポルトガル語ですが、部族の言葉しかしゃべることができなかったり、読み書きが不自由であったりする人が多いのです。そのため、モザンビークではさまざまな方法を使いなるべく多くの人にわかってもらえるように工夫した広報活動を行っています。
このとき見学した劇は、コレラを題材にしたものでした。トイレに行って、用を足したあと手も洗わずにご飯を食べたらコレラによってお腹を壊してしまったというもの。劇が終了した後、劇団の女性が劇を観に来ていた女の子対して、質問をしました。観ている人が実際に劇に参加することは本人が劇の内容を自分達の問題であるとしっかりと認識してもらえることや、それを観ている人たちも自分達の住民が発言することで問題に対して考えようとすることができます。この劇団は普段は俳優をしたりするなど、ほかに職業を持つ人たちの集まりです。劇団の女性は、「コミュニティに住んでいる人たちに伝えたい内容をきちんとみんなにわかって欲しい」と言っていました。劇団では、コレラ以外にもマラリア、HIV/AIDS、母乳育児、女性教育、暴力などさまざまな問題が劇を通して伝えられています。
子ども達が、自分達の周りで起こる問題をラジオ番組にして放送しています。子どもたちは自分達で情報を集め、インタビュー、録音、編集を行い、番組を作っています。番組制作や放送を通して、子ども達の自主性や責任力が育っていくそうです。もちろん子ども達は普段、学校に通っています。学校に通いながらも、学業とラジオの両立ができる子どもでないと、このメディアプログラムには参加することはできません。放送はポルトガル語と地元の言葉であるマクワ語の2つで行われています。子ども達は自分達の身近で起こるさまざまな問題を放送を通して多くの人に伝えられることを誇りに思っていました。放送のテーマは、学校、教育、世界旅行、健康、人権、子ども達の権利、ぼく達の未来などです。
車に、映画上映できるように発電機やプロジェクターなどの機材を積んで、移動できるようにしたのがモバイルユニットです。電気が通っていない所へも、車で広報活動ができます。このとき上映されていたのはコレラに関する映画で、食事調理の際に野菜を洗わずに調理した所、自分達の子どもがコレラで亡くなったというものでした。食事を作る前には材料もきちんと洗いましょうということを伝えていました。映画はポルトガル語で上映されていた作品でしたが、オーバーリアクションの映画だったので言葉の分からない私たちにも理解できました。観に来ている人たちもポルトガル語をしゃべれない人たちが多いと推測されましたので、このような劇だと多くの人々が理解できると思いました。コレラの映画のあと、HIV/AIDSについて上映されたそうです。
マプト市内のエスコーラ・バルネイという私立小学校で、絵画のクラブ活動が行われていました。そこに来ていた9人の小学生達に、さいたま市立大門小学校の生徒が描いた絵画52点と桜や富士山の写真を見せながら、日本について紹介しました。絵画や写真を見ると子どもたちは、歓声を上げたり、立ち上がったりして興味津々で見てくれました。最後に大門小学校の絵画をすべて美術の先生にお渡ししました。
この時間に描いていた絵画は視察最後の日に、いただいて帰ってきました。
今回の視察で栄養プログラムにかかわる人たちに話を聞き、その人たちが子ども達の栄養が改善傾向にあると認識して働いていることが大変印象的でした。実際に働く人たちはより多くの栄養不良の人たちを助けたいという熱い思いを持って働いていました。そういう人たちにハッピーミルクプロジェクトは届いていると感じました。
また、行く先々で保健省をはじめとした国や州の関係者、NPO、NGOの関係者から、今回の栄養プログラムの役割や成果の話しがだされ、ユニセフの支援が国の施策として行われていることも実感することができました。
一方で、モザンビークの現実は非常に厳しいことも実感しました。HIVの感染率は中々改善されず、栄養不良と教育不足もあわせて、新たな貧困を生んでいる実態を聞き、その一部を目の当たりにしました。
その中で、国やユニセフをはじめとした多くの団体が世界から支援を受けながら課題を解決していることに感動し、改めて引き続きの支援の必要性を感じました。そのために、少しでも多くの人にハッピーミルクプロジェクトを知ってもらいたいと思います。