HAPPY MILK PROJECT

モザンビーク訪問レポート

モザンビーク訪問レポート 2009

モザンビーク訪問レポート01 ©coopnet2009年4月18日〜25日、コープネットは今年もモザンビーク共和国に4人の役職員を派遣し、ハッピーミルクプロジェクトが支援している栄養プログラムの展開の状況などを見学してきました。そのレポートをお届けいたします。

モザンビーク訪問レポート 地図 昨年、ハッピーミルクプロジェクトを開始するにあたって、コープネットから2人の職員がモザンビークを訪問しました。そこで触れてきたのは、1000人中138人の子どもが5歳の誕生日さえ迎えられない現実と、そんな状況の中でも明るく元気な子どもたちの笑顔でした。
子どもたちが命を落とす直接の原因は、肺炎やマラリア、下痢。しかしそういった病気にかかりやすいのも、病気から回復しにくいのも、栄養不良であることが深く関わっています。栄養不良は食べ物の不足だけではなく、食事の習慣や栄養に関する知識不足によって、食事から必要な栄養素が取れないことによって起こっています。こんなモザンビークの現状、そして昨年から始まったハッピーミルクプロジェクト(ユニセフモザンビーク栄養プログラム指定募金)による支援の現状を自分たちの目で見ることが今回の視察の目的でした。

モザンビーク訪問レポート03 ©coopnet今回コープネットの役職員4人が訪問したモザンビークの南部、ガザ州シャイシャイは、国際空港のある首都マプートから車で約4時間の距離にあります。市街地を抜けると熱帯雨林も砂漠もなく、赤土の大地に緑豊かな草原が続いていました。視察先の農村はそんな緑豊かな風景の中にありました。
支援すべき国というと、衣類もボロボロというイメージがありましたが、女性はおしゃれな巻きスカートやバンダナをしています。みんな柄も色もさまざま。赤ちゃんをおんぶするにも抱っこするにも、きれいな布を多用しています。農村では自給自足の人が圧倒的であり、それはそれでのんびりと暮らしているようでした。そして、訪問した先々の集落で、子どもたちが笑顔で迎えてくれました。人々は貧しくはあっても明るく豊かなくらしをしているという印象を受けました。

モザンビーク訪問レポート04 ©coopnet

内戦終結後17年。毎年10%近くの成長を遂げている国、一方、世界の最貧国の1つで、平均寿命が2006年は37.1歳(HIV/エイズの影響で2010年には35.9歳になると予想されている)とは思えません。訪問した保健センターや集落でも栄養不良、HIV/エイズの説明は受けましたが、人々の顔や雰囲気を見ている限り、表面的にはその陰は感じられませんでした。
しかし、視察の中でいくつかその陰を垣間見ることができ、今回のハッピーミルクプロジェクトの必要性を実感することができました。

1つはチブト地区の集落でのデモンストレーションに参加していた親子から。ここは電気も来ている豊かな集落。それぞれの家の敷地はきれいに区画され、胸ぐらいまでの高さのきちんと刈り込まれた生け垣に囲まれています。広い敷地に小さい数棟の建物があり寝室、炊事場、トイレなどがそれぞれ1棟ずつに分かれています。
この豊かな集落の広場で行われたデモンストレーションに来ている親子の中に、栄養不良の乳児がいました。地面に寝かされていましたが、明らかにおなかが出ており、腕が細い。母親が座って抱き上げると、おっぱいを探るようなしぐさをして指をしゃぶっています。広場で行われていた若者の啓発劇は、子どもの栄養不良に気が付かない母親が、友人などに教えられて医者に行き、治療をしてもらって元気になったというストーリーのものでした。栄養不良の子の親は見ていて我が子のことと気づいたでしょうか?

モザンビーク訪問レポート05 ©coopnet

もう1つはシャイシャイ州立病院の入院者からです。昨日から入院している21歳の彼女は、7ヵ月になる2人目の子が熱を出したことで病院に来て、子どもが栄養不良であると診断され、子どもとともに入院しました。6ヵ月目までは母乳で育てましたが、離乳食は「小麦粉を水で溶いたもの」を与えていたといいます。「栄養バランスの取れた離乳食作りのデモンストレーションには参加したことはあるけれど、貧しさのため、家では作っていなかった」といいます。

モザンビーク訪問レポート06 ©coopnet 習慣や行動を変えるのは時間のかかる大変なことです。モザンビークのある地域では就学率を上げるため、支援を受けて学校給食を実施していましたが、その支援がなくなることが問題になっているとも聞きました。物の支援は比較的簡単ですが、行動を変えるための本当の力にはなりません。ユニセフでは栄養バランスの取れた食事は地元で手に入る食品を使って作ります。デモンストレーションの主催は集落のリーダーや母親たち。地域に力をつけようという意図がはっきりと伝わってきました。ユニセフは社会啓発活動を重視しており、ハッピーミルクプロジェクトの募金は社会啓発活動にも使われています。募金が有効に活用されていることを実感することができました。

モザンビーク訪問レポート08 ©coopnet最終日に、ユニセフモザンビーク事務所でまとめのミーティングを行い、モザンビーク事務所のパッカラ代表のお話をうかがいました。

モザンビーク自立のために何が必要かをうかがうと、国連としてモザンビーク大統領への政策提言(コンセプトペーパー)を提出したとのことで、その内容は、第一が農業、二番目が最弱者への支援(ソーシャルプロテクション)、三番目がインフラと貿易ということでした。
これらの課題については、モザンビーク政府、NGO、国連各機関(ユニセフ、FAO、ILO、IMF、WFPなど)が協同してすすめているとのことです。農業分野はFAOとWFPが、ソーシャルプロテクション分野はユニセフ、ILO、IMFが分担しています。
農業分野では、国家政策の確立と穀物の多様化が必要で、土地は恵まれているので第二の緑の革命を目指すということでした。

ソーシャルプロテクション分野では、栄養、教育、都市部若者職業訓練、生活保護が課題ですが、ユニセフはこのうち栄養・教育分野を担っています。ユニセフは子どもの生存と発育に焦点をあて、政府との間で「2007年から2011年協力プログラム」をたち上げ、以下の4つの分野に重点的に取り組んでいます。

    4つの分野
  • [1]Health and Nutrition(保健と栄養)
  • [2]Basic Education(基礎教育)
  • [3]Water & Sanitation and Hygiene(水、公衆衛生)
  • [4]Child Protection(子どもの保護)

ハッピーミルクプロジェクトが支援している「子どもたちに対する栄養プログラム」は、[1]のHealth and Nutritionの一つです。

    ユニセフの活動で大変なことをうかがうと、
  •  (1) 人材不足:トレーニングには時間とお金が必要
  •  (2) 行動や習慣を変えることが難しいこと:教育のレベルが低いことが障害になっている。
          識字率も低く、本、絵本などでの啓発は難しい。寸劇や映像が活躍する。
  •  (3)スラムも多いが70%は農村に住んでいるため、当面農村が重要であること

とのことでした。 「保健センターや教育がなくてもコミュニティーでの伝承でうまくいかないのでしょうか」と質問したところ、「正しくない偏見や習慣はまだあるので西洋医学への理解が必要」とのことでした。 お話をうかがい、子どもの生存と保健、教育分野はモザンビークの発展のための人材を確保する上で重要であり、優先度の高い戦略であること、今は援助に頼っているけれども、自立ができるように経済的な戦略が並行して必要で、農業分野が期待されることがわかりました。
ハッピーミルクプロジェクトは子どもの生存と保健の一部を担っています。コープネットは、このプロジェクトが目的に沿って効果的に運用されているかをモニタリングして確認すると同時に、モザンビークの状況を伝えることを通じて世界の状況、ひるがえって日本の立場も伝えていくことを目指していきたいと思いました。その際に、何を価値の優先にするのかは、最終的には現地の人が決めることであるということは常に念頭におくべきだと思いました。

モザンビーク訪問レポート07 ©coopnet 短い期間でしたが、視察に対応していただいたユニセフ現地事務所の皆さま、視察先の保健省、保健センター、集落のリーダーの皆さまなど、多くの方々が情熱を持って栄養不良の問題に取り組んでいることを知ることができました。その姿ともあわせて、このハッピーミルクプロジェクトへの期待を感じました。同時に、多くの募金に協力していただいた組合員へモザンビークの現状を伝えていく責任を感じた視察でした。

モザンビーク訪問レポート08 ©coopnet
視察参加者
コープネット理事長 : 赤松 光(後列 右から3人目)
コープネット広報室長 : 高山 栄(前列 左はし)
コープネット人事教育部採用担当 : 松尾 直美(前列 右はし)
ちばコープコープデリ宅配事業地域担当 : 本多 峻(前列 中央)
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