HAPPY MILK PROJECT

モザンビーク訪問レポート

モザンビーク訪問レポート 2010

1.モザンビーク視察の目的

(1)3年間のハッピーミルクプロジェクトの一定の到達点と課題の確認
(2)ハッピーミルクプロジェクト・メッセージ集の贈呈による交流

2011年度 モザンビーク視察 訪問地
2011年度 モザンビーク視察 訪問地

今回の視察では、首都のマプトとマプトから約2,000キロメートル離れたカーボ・デルカード州を訪問しました。

2.モザンビークの子どもたちの現状
  • 人口比率 : 全人口2,289万人のうち、18歳以下は1,000万人
  • 5歳未満の死亡 : 1990年の232人から2009年で142人に減少(1,000人中換算)。
    ※世界の子どもの死亡原因…栄養不良、マラリア、エイズ、新生児疾患、呼吸器感染症など
  • 発育阻害 : 44%(2009年)の5歳未満の子どもたちが患う。2003年の48%からは減少したが、最重要課題。全10州1市のうち、カーボ・デルガード州が56%と一番高い比率。南下するほど減少し、一番発育阻害率が低いのは、首都マプト市の25%。
    ※発育阻害…人間の成長速度が低下する状態をいいます。幼少時や栄養不良の母親の胎内いる期間の栄養不良が最初の兆候です。
3.視察した栄養プログラムの活動内容
(1)保健センターでの支援活動

保健員の育成や、栄養の基礎知識研修が実施されています。患者は自宅から病院までが遠い地域に住んでいる方も多く、病院に行かなくても地域の保健センターでも助かるように、保健員の能力向上・開発を支援しています。

  • 一般的な病気について、適切な知識(予防と治療)を身につける研修
  • 栄養についての知識(予防と治療)を身につける研修
  • 子どもたちの栄養状態の評価技術の研修

・・・・・・・・・など

(2)コミュニティでの支援活動

演劇による啓発活動

歌や踊り、全身で表現します。

モザンビークは識字率(読み書き力、男性58%・女性48%)が低いため、演劇を通して、母乳育児や栄養摂取の大切さなどを伝えています。また、『子どもに野菜や卵を与えてはいけない』という迷信や、食事の回数が1日1~2回程度であること、1つの皿で家族全員が食事をとるために母子に十分な食事が行きわたらないなど、様々な習慣が残っています。さらには、妊娠期の栄養補給が必要だという知識がない母親もいます。昔からの習慣を断ち切り、知識を向上させるためにも、演劇による活動は重要になります。また、厳格な家父長制度の中、母子の健康に対する男性の意識の変革についても、演劇を通し訴えています。

(3)ヨード添加塩の普及活動
ヨード塩を普及させる歌と踊りで披露する女性たち。

ヨードの欠乏が問題となっています。ヨード欠乏症による知覚障害や、甲状腺障害を引き起こします。
モザンビークでは海藻を食べる習慣がないため、ヨードを食塩に添加し販売しています。今回の視察では、歌によるヨード添加塩の重要性の訴えや、 販売店と協力したパンフレットの設置、ヨード添加塩プロモーション用のエプロン着用による広報活動を見ることができました。ヨード添加塩は、一般の塩よりも高価であるためになかなか普及が進んでいません。また、添加とうたいながらも含有量が少ないものもあります。昨年の視察で行われた添加量の実験では、調べたヨード添加塩にはほとんど含有されていませんでした。今回の視察では、高濃度で含有されていることが確認されました。

ヨードが入っているか確かめる検査。試薬は無色透明で、ヨードに反応すると紫に変化します。

※一般塩とヨード添加塩の価格差異

※一般塩とヨード添加塩の価格差異
ヨード添加塩:『パッケージ印刷有り』1ドル/1キログラム(約80円)。『パッケージ印刷無し』10メティカス/2キログラム(約30円)。一般の塩(ヨードの添加無し):50セント/1キログラム(約40円)。
4.モザンビークのお母さんたちの言葉

【保健センターがあって、本当に嬉しいです】
     *メトゥゲ保健センターで出会ったお母さん

子どもが病気の時にここへ来て、元気になりました。村長が定期的に「病気になったら、保健センターへ行きなさい」と話しています。

【家計はとても苦しい状況】
     *モンテプエズの病院で出会ったお母さん

病院から40~50キロメートル離れたインロッパ村から、公共のバスに乗ってきました。片道100メティカス(約300円)かかります。(1日1ドル(約80円)生活のため)家計はとても苦しい状況です。金銭面での影響で、深刻な状態にならないと病院には行くことができません。

※バス代などお金を得るために家畜を飼い、必要時に売って現金収入を得ている。1メティカス=約3円

5.メッセージ集の贈呈
医療スタッフにメッセージを手渡しました。

組合員の多くにハッピーミルクプロジェクトに関わっていただくことを目的に、2011年度はモザンビークで医療に関わるスタッフたちに対する応援メッセージを作成し、モザンビークへ持参しました。組合員から集まった応援メッセージの数は約1,500枚。その中のいくつかをモザンビークの公用語であるポルトガル語に翻訳し、冊子を作成しました。届け先は、ユニセフモザンビーク事務所を始め、保健局や保健センターなど9ヶ所、31冊でした。以下いただいたお礼の言葉です。

【栄養不良の子どもたちが改善できるよう、努力していきます】
     *モンテプエズ地区の病院チーフドクターヒダヤットさん

これを読んで、セミナーやコミュニティでも伝えていきたいです。このメッセージには、支援できて嬉しいとありますが、我々も支援を受けることができ、とても嬉しいです。これから2年間も、ご支援をお願いします。まだまだモザンビークの状況はよくありません。どうぞ、これからもよろしくお願いします。モザンビークの栄養不良率が高いので、栄養不良の子どもたちが改善できるよう、努力していきたいです。みなさんからいただいた支援金は、ユニセフを通して全ての州で、栄養プログラムとして使われています。基礎保健ケア(予防接種、保健員の研修、母乳育児のプロモーションなど)の支援に使われています。

【ご支援感謝しています。】
     *ナティテ保健センター所長メンデスさん

ありがとうございます。メッセージをいただけ、嬉しいです。ご支援感謝しています。寄付金は、この地区の子どもたちのために使われています。これからもご支援、よろしくお願いします。まだまだモザンビークでは栄養不良が深刻です。これからも子どもたちを救うために、努力していきたいです。

6.視察の感想

この視察を通し、ハッピーミルクプロジェクトは、モザンビークの生きる力を育む、誇りあるプロジェクトであると確信しました。病気を患った子どもを抱き、助けたいと願う母親たち。キラキラ光る瞳を輝かせた未来を担う子どもたち。子どもたちを守りたいと活動するスタッフたち・・・・・・・
奔走する多くの現地スタッフ、医師、保健員、ボランティアは、熱意に溢れ、子どもたちを栄養不良や病気から救いたいと活動していました。
彼らはまた、栄養プログラム支援への感謝の意と、「子どもたちを栄養不良から守る」と力強く約束してくださいました。彼らの精力的な活動によって、モザンビークは改善の方向へ進んでいます。しかし、状況はまだ予断を許しません。
栄養不良は、目に見えない深刻な問題です。視察団の誰もが元気な子どもたちを見て、「こんなに元気なのに、5歳で命を落とすのか」と疑問に思いました。ユニセフ・栄養担当官のソニア氏は「体が小さいけど、見た目の年齢よりも、実際はもっと大きかったりするのよ。だから、見つけ出さねばならないの」と話してくださり、その時、初めて問題の深刻さに気づかされました。

子どもたちを栄養不良や病気から守るには、大人も含め教育の場をさらに広げていかなければなりません。教育は、生きる力、生きる選択の幅を広げる力ではないでしょうか。モザンビークの子どもたちが、自分の足で人生を歩み、自分の手で未来の家族を守れるように…。3年間のプロジェクト継続の意義を自分の言葉で見出すことができました。

CNグループ職員とユニセフのモザンビーク事務所メンバー
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